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哀れ ひねくれた心
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| ピンクレディーが大ブレイクしていた頃、小学生の低中学年だった僕とぼくの兄もピンクレディーの大ファンだった。(言うまでもないと思うが、当然二人ともミーちゃんのファンで、僕等だけではなくピンクレディーファンの9割以上がミーちゃんのファンだったのではないかと思う。) 兄は当時、まだ家庭用ビデオという物がなかった時代にもかかわらず、ピンクレディーの振り付けを完璧にマスターし、ピンクレディーがテレビに出るたびにブラウン管の中のミーちゃんケイちゃんと一体となり、歌い踊っていた。 ビデオもなかった時代にどうやって振り付けを覚えたのかというと、当時駄菓子屋さんに売っていたピンクレディーカード(現在でいうトレカのようなモノ)の裏面に、ミーちゃんとケイちゃんの踊っている姿がコマ送り写真になって載っていたのだ。兄はそのカードを教科書に、ラジカセで曲を聴きながら夜な夜なひたすら踊り続けるのだ。 僕はそんな兄貴の姿を見て、『よし!俺もっ!』とか『負けてたまるかっ!』などとは思わず、『スゲ〜ぜ!』とか『カッコイイぜ!』とか『いいな〜』とも思わず、ただ気持ち悪いだけだった。いくら僕が負けず嫌いだからといっても、さすがにこれは勝ち負けの問題ではないと悟ったのだ。
まだ僕がピンクレディーのファンになったばかりの頃こんな事があった。
「お前よ〜、俺の真似ばっかりするなよ。」「お前のそういうとこがムカツクんだ!」
僕は兄のその言葉に呆気にとられてしまった。実際ぼくは兄貴の真似をしたつもりはこれっぽちもない。それに当時の僕等世代の10人に9.9人がピンクレディーのファンだった。(くどいようだがその内の9割以上がミーちゃんファンだ。ちなみに僕の周りにケイちゃんファンという奴は1人もいなかった。)だからよっぽどの変わり者でないかぎり、ピンクレディー(ミーちゃん)のファンになるということはいわば当たり前の当然のことなのだ。
「しとるだろ」
「してねーよ」
「しとるじゃねーか」
「してねーって言っとるだろ」
「したじゃねーか」 こんなような言い争いがしばらく続き、口では勝てない(喧嘩でも)と思ったぼくは、つい心にも無い僕にとって、いや、世間的に考えても有り得ないとんでもないことを兄貴に向かって口走ってしまったのだ。 「真似なんかしてねーよ。だってお前はミーちゃんのファンなんだろ。」 (ここからは蚊の泣く様な声で) ぼくは心の中でそんな自分に対し『なんでやねん!』と何度も何度も繰り返し繰り返しツッコミを入れていた。 言った瞬間今度は兄貴の方が呆気にとられ目が点になっていた。そして『ケケ・・・ケイちゃん・・・って?・・・そ・・そんなん・・有りえ〜へん!!!???』といったようなまるで僕のことを変わり者でも見るような目でボソッと、 「・・・ぅっ・・・んなら・・まぁ・・ええけど・・・???」 それからというもの、僕は兄貴の前ではケイちゃんファンという変わり者を演じなければならなくなり、とても哀しく辛い日々を送ることになってしまったのだ。しかしそんな哀しい日々の中でもせめてもの救いは、いくら僕が兄貴の前ではケイちゃんファンだからといって、兄貴が僕にケイちゃんの振り付けを強要し、ピンクボーイズ結成を迫ってこなかったということだけが救いだと言えるだろう。 |
| <あとがき>
ぼくは追い詰められると時々心にもないとんでも無いことを言ってしまうようだ。 これは書こうか書くまいかかなり悩んだことだが、もう時効なので、相当勇気のいることだが書けるところまで書いてみようと思う。(注意)最後まで書ききれるかどうか自分でも自信がないので、途中で終わってしまう場合もありますがあしからず。 当時ぼくは、兄貴が出かけていて家にいないのを見はからい、こっそり兄貴の部屋に忍び込み、兄貴が大切に部屋の壁に貼っていたピンクレディーのポスターのミーちゃんの唇にチューをしていた。これは正直言って一回や二回ではない。実はしょっちゅうやっていたのだ。 う〜〜〜〜。 |